あしたのきみに

2018.5生まれの高度難聴疑惑女子「桃」のこと。

大学病院へ 衝撃の顛末

8月29日、大学病院へ。

昨日の話です。

夫に会社を休んでもらい、夏休み中の上の子たちの世話を頼んで桃とふたりで大学病院へ。

道路が混むと思って早めに家を出たけれど、予想に反して20分ほどで到着。
自宅を出てから30分後には受付を済ませることができました。

 

診察室が6部屋もあるから、待合室もかなり広い。

多くがご年配の患者さんのようだったけれど、ちいさな子の姿も見える。

 

片耳に補聴器をつけた、2,3歳くらいの女の子。
小躍りしながら検査室へ入っていった。
お母さんも慣れた足取りだったから、通院してるのかな。

わたしたちより少し遅れて、1組の家族がやってきた。

わたしたち夫婦より、気持ち若そうな夫婦と、こどもが2人。
上の子とお父さんは席を外し、下の子とお母さんだけが待合室に残った。

お母さんに抱かれている子は、桃と同じくらいの月齢だろうか。
桃と同じく、耳のことでここへ来たのかな。
声をかけようかな。お互い、励まし合えるかな…

そんなことを思っていたら、わたしたちの番になった。

 

挨拶よりも前に先生が質問したのは

診察室に入るなり、先生はわたしの顔すら見る前に
「お母さんから見て、やっぱり耳聞こえてないように感じる?」
と聞かれた。

50代くらいだろうか。男性医師だった。

あまりに唐突過ぎて面食らってしまったけれど、
「いや…聞こえる音もあるように見えるんですが…」
と答えた。

桃を抱っこして診察台に座ると、先生からの質問。

 

「妊娠何週くらいで出産しましたか?」
「38週3日とか4日だったと思います。計画無痛分娩で出産しました」

「出産時のお子さんの体重は?」
「3300g台でした」

「妊娠・出産時にトラブルってあった?」
「足首にへその緒が巻き付いていて出産までに時間がかかりましたが、産婦人科ではそれがトラブルだったとは聞いていないです」

「ごきょうだい、ご家族…親御さんやおじいちゃんおばあちゃんたちに難聴の人はいる?」
「いえ、わたしの知る限りでは主人側もわたし側もいないです」

PCにそれらを入力しながら、先生は次々質問した。
ああ、遺伝の心配をしてるんだな、妊娠中のウイルス感染を心配してるんだな…ということが伝わってきました。

 

この耳の中、女の子の赤ん坊のモノですか…?

質問が終わると、先生は耳鏡と専用のライトを使って桃の耳垢を取った。

看護師さんと一緒に桃が動かないように固定するんだけど、そりゃ嫌がるよね…

でも、専用のピンセットで取る桃の耳垢はすごかった。かなり、すごかった。

黒~茶色の、ごろっとした耳垢。泣いて動くので大きなものしか取れなかったようだけれど、それでもちょっとびっくりする量の耳垢が取れた。

これが桃の難聴の原因だったらなぁ…と思いながらそれを見ていた。

 

その後、ファイバースコープで桃の両耳の中の写真を撮影。

桃の耳の中は、今そこそこキレイにしてもらったはずなのに、まだ耳垢が残ってる。
わたしは潔癖症ではないけれど、でも「この耳垢、もっと取りたい!」とつい思ってしまうような耳の穴の中だった。

その写真を見て、先生が言った。
「え?これって…水じゃない?」

 

まさかの大どんでん返し!?

「み、水…ですか?」

わたしが尋ねると、先生はうなづいて

「うん…これ、水に見えるんだよね…うん、水で間違いないと思うんだけど…」

 

桃の難聴を調べるにあたって、鼓膜の写真も何度もネットで見た。
その中に中耳炎の写真もあったけれど、はっきり言って正常時の鼓膜と中耳炎の鼓膜の違いがわからなかった。
それに、そもそも中耳炎だなんて微塵も思っていなかったので、完全に勉強不足。
先生がPCに映してくれた写真を見ても、何が何だかさっぱりわからない。
ただ、桃の鼓膜と、その近くにある耳垢しかわからない。
水が溜まっているなんて、素人から見たら全然わからない…

 

「生後2ヶ月で中耳炎…すごい珍しいね。でも、中耳炎の所見でいいと思う」

頭の中が大混乱。

ちゅ、中耳炎?

中耳炎って、先月まもなく2歳になるこども4♂が罹って、高熱が出てはじめての熱性けいれんを起こして救急車で運ばれた、あれのこと?

確かに、桃は生後1ヶ月で痰がからむ風邪をひいて母乳がうまく飲めなくなり、深夜に救急にかかって痰切りの薬をもらった。
その後もなかなか治らずに、かかりつけ医で1日分のステロイドをもらったこともある。
先日のABRの前も、少し色のついたどろっとした鼻水が出ていた。

桃は、生まれてこのかた鼻吸い器がほとんど手放せていない。

でも、熱を出したことはない。

 

わたしは慌てて、

「で、でも、市民病院では中耳炎にもなってないし耳垢もないし、仮にそれがあったとしてもここまで悪い結果になることはないって言われてるんですが…」

と言うと、先生は

「そもそもABRって、本当に特殊なことがない限り生後4~6ヶ月くらいまでやらないのね」

と答えた。

 

その言い方は、市民病院での所見と対応にちょっと疑問をいだいているように見えた。
だって、言ってしまえばたかが中耳炎。それを見落としたうえ、難しい検査までやっていたんだから。

「まずは、この水をどうにかしよう。
抗生物質を5日分出すから、きっちり飲ませて。それで症状を診せてください。
水が抜けてから、再検査。もし水が抜けなかったら排水しなきゃいけないんだけど、少量とはいえ麻酔をしなくちゃならないから。
薬が終わったらまた診せてね。それから今後の方針を決めましょう」

 

と先生が言いました。

長い綿棒?で鼻水からウイルスを検出する検査もしてもらい、その結果も含めて次回は9月4日(火)です。

 

本当にびっくりしました。

大どんでん返しとはまさにこのことです。