あしたのきみに

2018.5生まれの高度難聴疑惑女子「桃」のこと。

早めに情報収集

まずは、自治体。

重度なのか高度なのか、はたまた中等度なのかはわからないけれど、桃の難聴はほぼ確定。

なので、さっそく情報収集することにした。

 

自治体の発達相談に電話してみた。

状況を説明すると、難聴児の発達の具体的な説明をしてくれた。

ありがたいことに、わたしの住まいから車で30分圏内に県立のろう学校がある。
そこへ電話して、まずは就園までの過ごし方などを尋ねてみるといい、とのこと。

自治体としてサークルがあるとか、フォロー体制が整っているということはないようだった。
そうなのかー…。いわゆる発達障害だと自治体からの積極的なアプローチがあるけれど、聴覚障害の場合はその数の少なさからなのか?自分から動かないとダメなような感じだった。

 

今度はろう学校へ電話。

ろう学校へ電話してみた。
すると、優しそうな女性の言語聴覚士さんが電話に出てくれた。

我が家の状況を話したところ、ぜひ一度学校へ見に来てほしいと言われた。

同じように難聴のこどもを持つ親とのコミュニケーションの場を設けたり、難聴の子の育て方や親の心持ちなどをアドバイスしてくれるとのこと。

こちらの不安をしっかり受け止めてくれる空気が読めた。さすが専門家!

見学へ行きたいけれど、夏休み明け以降に予定を組むことにして、一旦電話を切った。

 

そうか、難聴の子を持つのは我が家だけじゃないんだ。
友達を作れば、少し心が晴れるかもしれない。
また一歩前向きになれた。

 

幼稚園にも相談。

うちの子たち、小3♀、年長♂、年少♀、2歳♂、そして桃。

小3♀が通い、年長♂と年少♀が現在通っていて、2歳♂も来年から満3歳児クラスに通うこの幼稚園。かれこれ丸5年、通い始めて今年で6年目になるので、先生方とのお付き合いも長い。
自然派で、環境に恵まれたとてもいい幼稚園で、当然桃も通わせる気でいた。

でも、こんなことになってしまって…。

 

年長♂と年少♀の夏期保育で登園した時に、特にお世話になっている教務の先生に会ったので、桃のことを話した。

桃に会うたびに抱っこしてくれるその先生はいささかショックを受けていたけれど、わたしが「難聴の子はここの幼稚園に入れないですよね…」と聞くと「ううん!気にしないで!わたしが副園長(園の実質管理者)に聞いておいてあげるから!」と言ってくれた。

そして、桃のことをぎゅーっと抱き締めながら「桃ちゃんだってここの幼稚園に来たいよねえ」と話しかけてくれた。

 

ありがたい。本当にありがたい…。

 

その日のこどもたちの降園で迎えに行ったら、教務の先生が早くも声をかけてくれた。

「副園長に聞いたらね、いいですよって!いろんな個性の子を受け入れるのがうちの園のスタイルだから、気にしないで入れてくださいって。母親目線としても気持ちがわかるから、大丈夫だって!」

もう、こんなにうれしいことがあるだろうか。
副園長先生は還暦を超えた方で、自身も5児(しかも全員男)の母。だから、同じく5児母であるわたしのこともきちんと受け止めてくださる。

副園長先生とお会いするたびに「あなたのことは本当に尊敬するわ、いつも元気で、子育ても本当に頑張っていらっしゃる…」ともったいないほどの言葉をかけてくださるんです。
(もちろんわたしのことだけじゃなく、園児に加えて保護者のこともきちんと気配りしてくれる素敵な副園長先生なのです)

 

ただ、桃のせいで先生方やほかの園児たちの足をひっぱるわけにもいかないし、桃を受け入れることで「あの幼稚園は難聴児OK」という話が広まっても園に迷惑をかけてしまうかもしれない。確かにウチは子だくさんだけど、それを理由にウチだけ特別扱いしてもらうわけにもいかない。

桃の性格や、補聴器なり人工内耳なりの生活が始まってからの実情を知らないことにはなんとも言えないけれど、ただ、就園先の選択肢を広げてくださったことは素直にうれしかった。

 

桃、桃がどんな桃であっても、みんな桃のことを受け入れるよ。
安心してね。

桃の寝顔に、心の中でそっと話しかけた。

 

補聴器と人工内耳

難聴なら、聞こえるようにしなければならない。

そこで選ばれるのが、補聴器。
うちの自治体は軽度・中等度の難聴児も、条件さえクリアすれば補聴器の購入・修理費用の補助金が出る制度があるらしい。
でも、補聴器そのものの値段がものすごく高い。精度のいいもの?になると数十万はくだらない。桃のように高度難聴だと、補助金が出ても十数万は自己負担だ。
なるほど~…

そして、人工内耳というのはほとんど初耳だった。
これはよさそう!と思ったけれど、なかなか一筋縄ではいかないようす。

それぞれのメリット、デメリット、適応可否、手術費用、その後の生活…

時間があればスマホでネットサーフィンし、耳関係のサイトのブックマークが次々と増えていった。

 

そういえば…

わたしが通っていた高校、3年生の時に同じクラスになった男の子が両耳補聴器をつけていたことを思い出した。

野球部で丸刈りだったからか、補聴器を耳にかけているのが見えた。

発音が一部不明瞭なところもあったけれど、普通に会話していたのを覚えてる。

ということは、高校にもなって補聴器を自己管理できるようになれば、普通高校も受け入れてくれるのかもしれない。

でも、実際はどうだったんだろう。プールの授業の時とか、どうしてたのかな…