その後、そしておわりに
桃、生後9ヶ月
桃、生後9ヶ月になりました。
身長も体重も成長曲線を上回るビッグ女子の割に、離乳食には興味を示さない。
おっぱい大好き女子です。
身体が大きいのでつかまり立ちはまだ。でも、検診で診てくれた小児科の先生は「足がしっかりしてるので、もうまもなくでしょう」と。
高ばいの姿勢はとるけれど、移動はもっぱら寝返り・寝返り返りと、ずりばい。
実は喘息の気があって、薬を飲んでいます。
が、元気そのもの。
鼻水は標準装備です。
その後の「きこえ」は…
桃の耳。
しっかり聞こえています。
声にも、音にも反応する。
音の違いもわかるみたい。
音が聞こえるから、声も出せる。
喃語、絶叫(!)、笑い声…
声からも成長を感じます。
母の勘、教育者の勘はやっぱりただものではない。
桃の耳は聞こえるようになりました。
思い返せば、産後入院中のOAEから始まった。
産院で2回OAEをして右耳リファー、市民病院でABRをした技師さんからは左耳の聞こえが悪いと言われ、市民病院でのABRの結果は両耳高度難聴。
おかしいな、と思ったんです。
だって、どうして右耳が聞こえなくなったり左耳が聞こえなくなったりする?
冷凍食品のパッケージのような、ちょっと硬めのビニールをガサガサすると寝ていても目を覚ます。
幼稚園の先生にも「聞こえてそうだけどなあ」って言われた。
本当に聞こえてないのかなぁ、と…。
そして、フタを開けてみたら、耳に水が溜まっていた。
その水が抜けたら、治った。
難聴ではなかった。
難聴ではなかった!!
あのとき疑った思いは、間違いでも勘違いでもなかった。
医者は病を診るプロだけれど、親や教育者でないとわからないものもある。
それは資格ではなく、感覚と経験がものをいう。
それは、時に医師の診断を超越するんだと思いました。
ありがとうございました。
桃の耳は聞こえるようになったけれど。
でも「聞こえていない」と診断されてから学んだことは、とても大きかった。
自治体の育児相談に電話した。
地元の聾学校に電話して話を聞いた。
障害者手帳のことを調べた。
補聴器のことを調べた。
当事者の目線から「24時間テレビ」を見た。
桃との意思疎通の手段を調べた。
手話での生活を視野に入れた。
胸が潰されそうな思いの日が続いた。
どうして桃なんだろう、なんとか代わってあげたいと涙した。
現実を受け止めなければならないのに、もがいて苦しんで逃げ道を探した。
当事者ではなくなったけれど、一時でも当事者目線に立つ時期があったことで、きこえにハンデをもって暮らしている方々を想うことができた。
いや、想うことしかできなかったけれど、大切な時間だった。
絶対に忘れない。この経験を。
そして、ほんの少しだけれど、今回知ったことで世の中の力になれることがあるなら、積極的に参加していきたいと思ってる。
新生児聴力スクリーニング検査でリファーになっても、驚かないで。
びっくりする気持ちはわかるけれど、スクリーニングはスクリーニング。
そこから「やっぱり大丈夫でした」なんてことはザラにある。
そして、我が家のように、中耳炎が原因なんてこともない話ではない。
さらに、本当に難聴だったとしても、早く知ることでできるサポートは広がる。
難聴の事実を受け止めたくない気持ちを胸に抱いたままで構わないから、できることを始めることが本当に大切だと感じました。
桃のお話はこれにて…
ありがとうございました。